私も普段からよく使っているmuzie。しかし、昨今、投稿を停止するアーチストが目立つようになってきた。ブログやツイッターで”今までお世話になりましたが、今後muzieへの投稿を見合わせます”といった記事を目にすることがよくある。


 なぜ、このような事になったのか。各アーチストがプロの世界へ旅立つゆえのことなら祝福するべきことなのだが、事情は違う。


 まず、今回議論の対象になるのはクラブミュージックのアーチストである。前回の記事に書いたことと重複するが、彼らのほとんどは音ゲーを入り口とする。


 このブログ をご覧くださる方も御存知の通り、現在では多くのクラブ系アーチストがsound cloudを利用している。お察しの通り、これの存在がmuzieの変遷に大きな影響を与えている。


 まず、muzieの変遷を転載しよう 

  • 1999 mymelodyとして立ち上げ
  • 2001 muzieと名称変更、会社設立
  • 2010 別会社に譲渡
  • 2011 エイベックスに吸収合併される

 利用していたみなさんは”あっ!?”と思ったかもしれない。2010年に理由の分からない大きな変更があった。それまで自由にDLできていた楽曲が、会員登録しないとDLできなくなり、UPロード者もデフォルトではDL不可の設定になっていた。これは別会社に譲渡された際に起きたもので、おそらくメールアドレスを手に入れたかったのだろう。しかし、この改悪はユーザーの反感を買った。この機会に別の投稿サイト、自身のサイトヘのUPを始め、結果的にmuzieを停止したものが数多くいた。


 その受け皿になったのが、sound cloudである。


 次に、sound cloudの沿革を転載する


  • 2007 設立
  • 2009 ベンチャー投資家から大型投資を受ける
  • 2010 別のベンチャー投資家からさらに大型投資を受ける

 
 鍵になるのは2009年の投資である。おそらくmuzieの創業者たちはこの情報を入手し、太刀打ちできないと悟ったのだろう、そこで譲渡した。しかし、受けた会社も思うように運営できず、最終的にエイベックスへの売却となってしまった。

 サウンドクラウドは欧州を母体とする巨大規模のSNSだ。クラブミュージックに当然ながら強く、活発な交流が行われている。日本人で、クラブミュージックのプロフェッショナルを目指す者達がそちらに流れるのは当然のことだ。


 
 では、現在のmuzieは誰が利用するのか



 エイベックスが運営となれば、わかりやすいだろう。J-POPアーチストだ。

 
 現在muzieがプッシュし、提携しているところはJ-POP専門に扱う会社、サイトが主である。クラブミュージックなど以前から扱いは小さかったが、最近では存在しないかのように扱われている。運営会社自体も、グローバル化した現代ではクラブ系音楽をここで扱っても勝ち目がないと悟っているのだろう。



 その事自体は良くも悪くもない。会社としての戦略である。問題なのはその戦略から外れているにもかかわらずmuzieを利用し続けることだ。自分たちのジャンルだけをとって”muzieは終わった”と言い立てるのはミクロ的視野に陥ってしまっている。muzie自体はまだまだ続いていく、muzieのクラブ系分野が終焉に向かっているのだ。


 時がたてば同じ会社でも業種が変わることなどよくある。ソニーなど、金融分野が収益の第三位を持っており、最大の成長分野となっている。


 我々も、自分を取り巻く環境の変化を受け入れる必要がある。人々が求めるとき環境は変化する。クラウド容量の肥大化とともにニーズは変遷している。

   
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